Turmoil分析④~これまでの拡張との変化①~
ターモイルという拡張を一言で言えば、"盤面が大きく動き、思惑が渦巻く拡張"になると思います。
<グローバルイベントによる環境変化>
これまではマップ選択によってカードと盤面、称号褒賞によってプレイ方針の強さが大まかに決まっており、ともすればある程度パターン的に状況や企業の優劣が判断できる状態にあったかと思います。
一方で、ターモイルで追加されたグローバルイベントは、全員に不可避の影響を与えるため、明確にこの行動が強い、あるいはこの方針が弱いという観点を新たに提示します。イベントによる味付けによって、戦略同士の強弱が揺らいでいるのは、ターモイルの良いところと考えています。
関連して、ラウンド開始時に2枚イベントが見えているのは、非常に良く考えられていると感じています。2R終了時と3R終了時の出力の変動が見えており、序盤を大過なく過ごすために、あるいは大きく出力をあげるためにどうすれば良いのか、というのはプレイヤーに示されている訳です。また、中立の議員がどこに行くかも、4票分は最初に見えているので、大まかにどの政党が伸びそうなのか、というのもそれなりに予見できます。
<議会によるインタラクション>
議会のモジュールも、非常によく考えられているように感じます。
金星やコロニーの拡張で追加されているモジュールは、お金やその拡張のカードのどちらかを持っていないと、あまり利益を得れなかったりしました。
あるいは深くコミットしなくても相当程度の利益を得たり、無視して勝つということも可能でした。
議会モジュールは、
①毎ラウンドフリーのアクションとして議会に一票を投じることができる。
②追加のコストも高くないため、かなりカジュアルに盤面操作を図ることができる
という点で、これまでの拡張の方向と大きく異なります。ある種強制的に、議会には関わることを余儀なくされる訳です。
そのため、議会上でプレイヤー間の思惑が行き交う訳ですが、ここで欲望の流れを読み取り、あるいは動機つけをして相手の動きを誘う…という行動が出来ると非常に良いです。
例えば、自分が議長になれないにしていも、走っているプレイヤー以外の政党に議席を固めたり、相手がハードパスするのを待ってから次のラウンドの政策を違う方向に傾けたりと、いろいろと手を打つことが可能になります。
特に、ゲーム中盤で独りよがりで抜きでてしまうと、議会上で1対多の状況が生まれやすくなります。(一方で、政党内マジョリティの問題もあり、なかなか一蓮托生といかないのも、また面白いのですが。)
誰かと相乗りしたり、組む相手を動かしながら、少しづつ他との差を付けていく動きが必要になるでしょう。
サイエンス、ユニティ、グリーンについては、ボーナスと政策が必ずしも噛み合わないということもよく出来ていると思っています。タグボーナスによって恩恵を得る人が、政策によって恩恵を得ないということもままある為、その分相乗りの抵抗感は低いかと思います。
<処理する情報、選択肢の増大>
単純にモジュールが2つ追加されたことにより、このラウンドで何をするか、この1手番で何をすべきかの判断基準が多くなりました。個人的には、色々な選択肢の中から最良の選択を重ねて行った上での勝利、という感覚が得られて、とても好みな拡張なのですが、人によっては取っ付き難い拡張であるかも知れません。
上級拡張の名に相応しく、ある程度テラフォに慣れた人同士で遊ぶのが良いと思います。
この拡張では自分の意志を隠すことと、他プレイヤーの行動を予測していくことは非常に重要かなと考えています。
どうしてあの議席に投じているのか?どうしてあのカードをプレイしているのか?相手にあのカードを渡したから、どういう動きをすると思うか?相手に悟らせず、かつ相手の立場にたって、何がしたいか(そしてそれをいかに潰すか)を考えながらプレイ出来ると、より楽しいですね。
少し抽象的な議論をしてしまったので、その他の細かい変化は次の投稿に回します。